
台湾は親日でご飯がおいしい国というイメージがあったり、ゆるくてのんびりしているイメージがあったりしますが、実は教育に関してはかなりシビアな一面を持っています。
特に学歴社会と受験競争の厳しさは、日本よりも強いと感じる人も少なくありません。
今回は、台湾の大学進学率の高さと、それを支える受験文化のリアルについて、旅行では見えにくい側面を掘り下げていきます。
台湾旅行に行くのに必要な知識ではなく、知らなくても困らない、でも知っているとちょっと台湾に詳しくなれる雑学です。
目次
台湾はほぼ全員が大学に行く社会
台湾の大きな特徴の一つが、大学進学率の高さです。世界トップレベルの高さなのです。
現在の台湾では、高校卒業後に大学へ進学する人の割合は80%以上とも言われており、大学への進学はほぼ当たり前の進路になっています。普通科に限っては進学率は95%を超えて世界一とも言われています。
これは日本よりも明らかに高く、大学に行かないという選択をする人は少数派です。ちなみに日本の大学進学率はは59.1%(2025年度)です。
参考までに大学院への進学率は日本は12%と言われていますが、台湾では大学生の半数以上が大学院に進学すると言われます。それだけ強烈な学歴社会なのです。

とにかくほとんどの高校生は大学に行くのが既定路線なのです。
その背景には、
- 学歴が就職に直結しやすい社会構造
- 親世代の「良い大学=安定」という価値観
- 大学数の増加(大学の大衆化)
といった要因があります。
トップ大学は別格の存在
進学率が高い一方で、どの大学に行くかは非常に重要です。大学卒業の後の人生が決まる=収入が決まるという考え方があるようです。

特に台湾最高峰とされる国立台湾大学は、日本でいう東京大学や京都大学のようなポジションで、社会的評価・就職の強さともに圧倒的。偏差値も70以上と言われています。
ちなみに国立台湾大学は日本統治時代の1928年に、台北帝国大学として開校。当時の日本としては7番目の帝国大学でした。

トップ3の台湾大学、清華大学、成功大学は台湾では超エリート。総じて国立大学は強いです。
台湾には国立・私立含めて約150校の大学があると言われていますが、どこに進学するか(できるか?)は、学歴社会の台湾ではかなりシビアな問題になっているようです。
ただし、これは日本も同様の問題を抱えていますが、台湾は世界最低レベルの出生率(2023年0.85%)です。日本よりも低く、今後学生数は如実に減少していきます。
そうなると一定数の大学は淘汰され、トップレベルの大学だけが残り、更に熾烈な競争になることもあるかもしれません。
受験は一発勝負に近いプレッシャー
台湾の大学入試は、日本のように複数回チャンスがあるというより、試験結果が進路を大きく左右する一発勝負感が強いのが特徴です。
代表的なのが大学学科能力測験(学測)と呼ばれるもので、端的に言うとこれは日本の大学入学共通テストのようなもの。
この学測の結果で、志望できる大学のレベル、学部の選択肢がほぼ決まってしまいます。
学測の結果と面接だけ、あるいは内申点などで希望の大学の学部に行けてしまうのです。
そのため進学を予定するほとんどの高校生は、学校で毎日勉強した上に、補習班と呼ばれる塾に通い、朝から晩まで勉強するという生活になりがちで、それは明らかに日本以上に厳しいそうです。

台湾でも特に都市部の学生は、小学校から補習班に通うことが普通で、多くの学生は学校が終わると補習班に行き、22時くらいまで授業を受けるそうで、これがほぼ毎日。
もちろん途中で投げ出す学生もいると思うけど、必死で頑張った人の一部がエリート大学に進学できるわけです。
台湾における学歴社会のメリットと歪み
台湾の学歴重視社会には、もちろんメリットもあればデメリットもあります。
✔ 学歴社会のメリット
- 全体的な教育水準が高い
- 努力すれば上に行けるという意識が強い
- 理系人材が豊富(IT産業の強さにも影響)

All rights reserved by nguy0833)台湾はTSMCや鴻海などIT、半導体関係の世界的な大企業が多いです。世界的に名の知れた大企業に就職することも一つのステータス。
一方で、こんな問題も指摘されています。
⚠ 学歴社会のデメリット
- 学歴による格差意識
- 若者のプレッシャー・ストレス
- 「とりあえず大学」問題(目的のない進学)
家庭の事情などで大学進学しない(できない)人もいるはずですし、日本もそうですが、どこの国、どこの世界に行っても勉強したくない人もいます。
勉強ができなくても手に職をつけたり、資格を取ったり、高卒から働くことでも生きていけるのが日本ですし、それでもその後大成功する人もいます。台湾の場合もそういう面はあるにせよ、ちょっと違うところもあります。
台湾ではそういう人でも「とりあえず大学」に行く人が圧倒的に多いことです。日本で言うFラン大学であろうと何であろうと、大卒の肩書だけは必須という考え方です。
なぜここまで進学率が上がったのか?

All rights reserved by 元智光電科技股份有限公司)台湾では1990年代以降、大学の数が急増しました。大学の大衆化です。
その結果、入学のハードルは下がる、進学率は上がる、しかしトップ校の価値はむしろ上昇という現象が起きました。
つまり入りやすくなったが、競争は消えていないという状態です。
誰でも大学に行ける状態だからこそ、少しでもランクの高い大学に行かないと差別化できない、そんな心理です。
日本人が感じるギャップ
台湾の教育事情を知ると、多くの日本人がこんな印象を持ちます。「思った以上に競争が激しい」「勉強量がかなり多い」「でも学生は明るくフレンドリー」そんな印象です。
この「ハードな受験 × 柔らかい人柄」のギャップも、台湾の面白さの一つです。

日本人から見ると多くの台湾人は、(車やバイクを運転する時以外は)非常に穏やかで優しく親切な性格に思えますが、一方で多くの台湾人は厳しい受験戦争を潜り抜けてきた猛者なのです。
そして大学に行ったことは行ったがろくに勉強しなかったので、何も覚えていないという学生が日本には多い(私も)気がしますが、多くの台湾人は大学でもしっかり勉強します。
台湾では日本語を専攻しなくてもほとんどの大学(90%)では第二外国語として日本語の授業が選択できます。そのため日本語を話すことができる台湾人もいるのです。
大学で習っただけでペラペラの人も結構います。驚きです。第一外国語では英語が必修の大学が多いので、台湾では「台湾華語・台湾語・英語・日本語」が話せる人も少なくはないのです。
私は学生時代、第二外国語として中国語を習いましたが、ほぼ記憶にありません。そんな人も多いのでは?
台湾人と日本人では大学に進学したとしても授業を受ける姿勢が違うということは言えるのかなと思います。
学歴社会台湾まとめ:優しい国の裏にある“ガチ競争”

台湾は観光では穏やかで親しみやすい国に見えますが、教育の世界はかなり競争的です。
- 大学進学率は非常に高い
- しかし学歴の価値はむしろ強い
- 受験プレッシャーも大きい
こうした背景を知ると、現地の学生や若者を見る目も少し変わるかもしれません。
台湾のほとんどの大学は自由に敷地内に入って散策できます(建物内は基本NGだけど外はOK)。
台北市の国立台湾大学は地元民の散歩コースみたいになっていますし、台南市の国立成功大学は街と一体化しているような感じで気軽に散策できます。
旅行中に大学周辺を歩いたり、学生と話す機会があれば、ぜひその空気も感じてみてください。