知れば知るほど飲みたくなる台湾茶
今や台湾に行かなくても日本でも手軽に手に入る台湾茶。
でも台湾茶って中国茶や日本茶と何が違うの?種類がたくさんあってどれを選べば良いのかわからない、淹れ方が難しそう、ここはそんな疑問を解決する台湾茶の特集ページです。
台湾茶の歴史と起源
台湾茶は大昔から台湾で作られていたというわけではありません。その起源は中国です。
中国からもたらされた烏龍茶
1796年に中国の商人が中国烏龍茶の苗木を台湾に持ってきて、台湾北部で栽培を始めたのがその起源とされています。
そして後に中国福建省から製茶法が伝わり、台湾全土に広がっていきます。
1865年には英国の商人が中国福建省から苗木や種を輸入し、それを使って台湾の農民に茶葉を栽培させて、後に買い取るという商売を始めました。
この茶葉は世界に輸出され、Formosa Teaと呼ばれ人気を博しました。
Formosaとは
1544年ヨーロッパで最初に台湾の島を発見したポルトガル人が台湾のことを「ILHA FORMOSA(美しい島)」と呼んだことからFormosa(フォルモサ)は台湾の別称となる。台湾では美麗島と訳され、高雄市には美麗島駅がある。
日東紅茶
台湾が日本の統治下となっていた1920年代には三井合名会社が、台湾で紅茶の製造に乗り出します。
1927年には「三井紅茶(後に日東紅茶と改名)」を発売。それまで台湾では烏龍茶や包種茶が主力だったものが1934年には紅茶の輸出がトップになるほどで、全盛期には台湾に何ヶ所も製茶工場を建設していたそうです。
その工場の一つ角板山工場が現在桃園にある大溪老茶廠です。
日本では誰もが知っている日東紅茶は実は当初は台湾で製造されていたのですね。そして日東紅茶は台湾茶の歴史には欠かせないほど重要な役割を果たし、現在の台湾茶の興隆に一役買っていたのです。
終戦後の台湾茶
こうして興隆した台湾茶産業ですが、第二次世界大戦が始まり急速に輸出量は激減してしまいます。製茶産業に従事していた人たちが食糧生産事業に転換を余儀なくされたためです。
しかし1945年に終戦となり、日本の統治も終了となりました。その後再び紅茶、緑茶の生産に力を入れるようになります。
終戦後から活発化した台湾茶の輸出は1980年代までに最盛期を迎えました。そして1990年代頃には逆に台湾国内でのお茶の需要が高まり、輸出は減少していきました。
そしてこの頃には緑茶、紅茶の他に高山茶と呼ばれる台湾茶の生産も盛んになります。その名の通り標高1000メートル以上の高山地帯でしか栽培できないお茶です。
一般的に紅茶は標高1000メートル以下、台湾茶は1000メートル以上の土地で栽培されます。中には2000メートル以上の高山地帯でしか栽培されない台湾茶もあります。これらを高山茶とも呼びます。
起源は中国茶ですが、台湾ならではの気候や高山地帯を利用したお茶の栽培で独自に品種改良を繰り返し、現在では中国茶とは全く違うお茶として認識されています。
台湾茶の種類
一般的に言う台湾茶とは台湾烏龍茶のことで青茶とも呼ばれます。
その台湾烏龍茶にも数えきれないくらいの種類がありますが、そもそも青茶を知っていますか?
青茶とは?
台湾茶というよりはこれは中国茶の分類ですが、以下のような分類をすることがあります。
緑茶 | 不発酵茶 |
白茶 | 弱発酵茶 |
黄茶 | 弱後発酵茶 |
青茶 | 半発酵茶 |
紅茶 | 完全発酵茶 |
黒茶 | 後発酵茶 |
お茶の茶葉自体は実は同じもので、その発酵度の違いで分別をします。茶葉は寝かせておくことで自然に発酵します。
日本人も良く飲む緑茶(日本茶)は発酵していないお茶です。青茶は半発酵茶と呼ばれ、台湾茶の多くはここに分別されます。紅茶は完全に発酵したお茶、黒茶は微生物によって発酵させたお茶でプーアル茶が該当します。
中でも青茶は発酵度合いが幅広く軽発酵茶、中発酵茶、重発酵茶などと分類され、何十種類もの台湾茶があります。
現在の台湾では主に台湾烏龍茶と呼ばれる青茶が生産されていますが、緑茶、紅茶、黒茶も生産されています。
また上記以外に桂花茶や茉莉花茶のような花茶、茶葉と花に細工を加えお湯の熱で花が開くようにした菊花茶のような工芸茶などもあります。
有名な台湾茶
上述のように台湾茶と言っても産地により細かく分類され名称が付いているので本当に数えられないくらいの種類がありますが、一般的に良く知られ、日本でも知名度がある台湾茶をいくつか紹介します。
台湾茶 | 主な産地 | 特徴 |
文山包種茶 | 台北 | 軽発酵で緑茶に近い爽やかな風味 |
東方美人茶 | 新竹、苗栗 | 無農薬でウンカに噛ませたお茶で紅茶に近い |
凍頂烏龍茶 | 南投 | 緑茶に近くビタミンCが豊富 |
木柵鉄観音茶 | 台北 | フルーティで濃厚な味わい |
阿里山金萱茶 | 嘉義 | 独特のまろやかさと花の香り |
杉林溪烏龍茶 | 南投 | フルーティでほのかに甘い高級茶 |
梨山烏龍茶 | 台中 | 上品な甘さと爽やかさがある高級茶 |
大禹嶺烏龍茶 | 南投 | まろやかで甘い後味 |
蜜香烏龍茶 | 南投 | 東方美人茶と同じでウンカに噛ませる |
四季春茶 | 南投 | 苦味がなくまろやか |
港口茶 | 屏東 | 苦味と香ばしさ |
日月潭紅茶 | 南投 | 濃厚なのに爽やか |
蜜香紅茶 | 新北 | 蜜のような甘い香りと後味 |
紅玉紅茶 | 南投 | 独特のすっきりとした香り |
茉莉花茶 | 台北 | ジャスミン茶。渋みがあるが香りが良い |
桂花烏龍茶 | 南投 | キンモクセイの花茶。甘い香り |
上表の下の5つ以外は青茶(台湾烏龍茶)です。(桂花烏龍茶は烏龍茶をベースにした花茶です)
上記の中でも最も有名なのは台湾四大銘茶と呼ばれる下記の4つです。
台湾四大銘茶
- 文山包種茶
- 東方美人茶
- 凍頂烏龍茶
- 木柵鉄観音茶
またこの台湾四大銘茶の中で、文山包種茶、東方美人茶、凍頂烏龍茶の3つを台湾三大烏龍茶と呼ぶこともあります。
台湾茶を飲んだことのない人はまずはこれらのお茶を試してみると良いでしょう。
台湾茶の効能
台湾茶は薬ではありません。効能には個人差があります。
台湾茶にも上記のように種類がたくさんありますので、実際はそれぞれ微妙に効能などは変わってきますが、一般的には下記のような効能があるとされます。
台湾茶の効能
- 肥満予防
- 花粉症予防
- リラックス効果
- 利尿作用
- むくみ解消
- 美肌効果
- 冷え性予防
この中で特に注目すべきは花粉症予防です。台湾烏龍茶には抗アレルギー作用が認められているメチル化カテキンという物質が含まれているのです。
近年、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構などの研究によりこのメチル化カテキンが注目されてきました。
凍頂烏龍茶
日本ではべにふうき茶に多く含まれていることがわかり花粉症に悩む人に人気ですが、台湾烏龍茶、中でも凍頂烏龍茶や四季春茶にも多く含有されていることが判明しています。
べにふうき茶は元々紅茶用の茶葉で、これを無理矢理緑茶として飲むので苦いのが難点でした。薬だと思って飲むのなら仕方ないですが、美味しくはないのです。
一方凍頂烏龍茶は本来の味を楽しみながら飲めます。生産量も多く日本でも手軽に入手できるので、毎春、花粉症で悩む人には特におすすめです。
ただしメチル化カテキンが花粉症に効果があることが確かであっても、実際の効能には大きく個人差があるので誰にでも効くわけではありません。
でも美味しい台湾茶を飲むついでに花粉症にも効果があれば一石二鳥で良いなあと思う人は試してみると良いと思います。
東方美人茶
個人的におすすめは上記の凍頂烏龍茶とこの東方美人茶。凍頂烏龍茶はいかにも台湾烏龍茶という感じの王道の味と香りがします。
一方の東方美人茶は重発酵茶で発酵度合いが高いため紅茶の香りに近く、世界的にもオリエンタルビューティーという名称で人気があります。
東方美人茶はポリフェノールが豊富で脂肪吸収や動脈硬化を抑制する働きがあり、またビタミンCやビタミンEも豊富でお肌に良く、特に女性に人気があります。まさに美人になれるお茶なんですね。
上述していますが、東方美人茶はウンカに噛まれた茶葉を使うという独特な製法です。ウンカとは蚊のような大きさの虫ですが、茶葉にとっては一般的には害虫です。なのでウンカ除けの農薬を使うのが一般的です。
しかしウンカに噛まれた植物は敵から身を守るためにファイトアレキシンという物質を生成し、これが独特の爽やかな甘い香りになります。これは偶然発見されたとも言われています。
わざとウンカに噛ませるために完全無農薬で栽培される茶葉です。是非味わっていただきたい台湾茶です。
台湾茶の美味しい淹れ方
本格的な台湾茶の淹れ方はなかなか大変です。まずは台湾茶器セットを購入しなければならなくなります。
しかし台湾茶器まで購入しなくても自宅にあるものでも充分楽しめます。台湾茶器を買って本格的に楽しむのは台湾茶にハマってからでも遅くはありません。
台湾茶の簡単な淹れ方
手軽に美味しく楽しむ方法は
台湾茶の簡単な淹れ方
- 出来るだけ小さめの急須と小さめのマグカップ(おちょこでも良い)を用意
- お湯100mlに対して茶葉は2〜3g程度(急須の1/4〜1/5程度の量)
- お湯を急須に入れたらすぐにマグカップに移して温める
- 急須とマグカップのお湯を捨てる
- 急須にお湯を再度入れて60〜90秒程度蒸らす
- マグカップにお茶を注いで香りを楽しんでから飲む
- マグカップなら3〜5杯程度飲めますが、おちょこくらいのサイズなら10杯飲む人もいます
特に大きなポイントは急須やマグカップを事前に充分に温めておくことです。こうすることで飲む時に台湾茶の香りが強くなります。
一般的に2杯目は蒸らす時間を減らして、3杯目は1杯目と同じくらい、4杯目以降は少しずつ長くしていきます。
例えば60秒→45秒→60秒→75秒→90秒という感じです。この辺りは正確ではなく適当でも大丈夫。多少薄くなっても濃くなってもそれぞれ味わいが変わることを楽しめるからです。
台湾茶の本格的な淹れ方
ちなみに本格的な淹れ方も書いておきますが、まず台湾茶器セットを用意しなければなりません。
茶壷(ちゃふう)は日本で言う急須です。これはわかりますね。水盂(すいう)と言うお湯や茶葉を捨てる受け皿が上の写真の急須の下にある木の箱のようなものです。
茶壷は急須で代用、水盂も何でも良いので大きめのお椀とかで代用できます。茶漉しも日本のもので大丈夫です。
他に必要となるのは茶海というピッチャーのようなもので、これはお茶の味を均等にするために使われます。
急須からそのまま入れると最初の人は薄め、後の人は濃い目になってしまったりしますが、これを使うことで均等になるのです。
聞香杯はお茶の香りを嗅ぐためだけに使われるもので、簡易な台湾茶器セットだとないタイプもあります。飲杯はその名の通りお茶を飲むための杯です。
台湾茶の本格的な淹れ方
- まずはお湯で急須と茶海を充分温めてからお湯を捨てます
- お湯100mlに対して茶葉は2〜3g程度(急須の1/4〜1/5程度の量)
- 茶葉が入った急須にお湯を入れてすぐに茶海に注ぎます
- その茶海のお湯を聞香杯に移します
- 聞香杯のお湯を飲杯に移して温まったらお湯を捨てます
- 全ての器が温まったら急須にお湯を注ぎ、60秒程度待ちます
- その後、茶漉しを使って茶海→聞香杯→飲杯の順番でお茶を移してから飲みます
- 空になった聞香杯の香りを嗅ぎます
- 5〜10杯程度飲めます
台湾茶の淹れ方はお茶屋さんなど色々なサイトで指南していますが、微妙に書いてあることが違います。
例えば蒸らす時間。蒸らす時間は適当でも大丈夫です。上述の簡単な淹れ方と同様です。また聞香杯がない場合はそのまま飲杯で味わって大丈夫です。
細かいことを言えば蒸らす時間がお茶屋さんによって違うのは茶葉の状態が違うためです。最近の台湾茶の茶葉は球体になっているものが多く、球体の場合は開く時間がかかるためやや長めに蒸らします。
葉っぱの状態がわかるような球体になっていないタイプはそれよりやや短くて大丈夫です。
小さな飲杯ですので少なくても4〜5杯は飲んでみましょう。微妙に変わってくる味わいを存分に楽しめます。
ティーバッグ台湾茶の淹れ方
最近はこういった急須などさえ家にない場合もあり、ティーバッグタイプも人気のようです。ティーバッグ台湾茶の淹れ方は
ティーバッグ台湾茶の淹れ方
- 小さめのマグカップかおちょこを用意し、温めておきます
- マグカップにティーバッグを入れ90〜120秒程度おきます
- マグカップなら2〜3杯、おちょこなら5杯程度は飲めます
こちらもポイントは事前に器を温めておくことです。これをするかしないかで香りがかなり違ってきます。お試しください。
蒸らす時間は上述の通りですが、そんなに堅苦しく厳密にやらなくても適当な淹れ方でも充分美味しいです。
台湾茶まとめ
私の場合は、台湾茶をまともに味わったのは台中の無為草堂が初めてで、帰国後台湾茶器セットを購入。近所やネットで茶葉を購入し、自宅で台湾茶を楽しんでいます。
参考【台中市】無為草堂の日本風庭園で世界最高級の台湾烏龍茶を味わう
台中で台湾茶を味わうなら無為草堂 台湾でちゃんとした台湾茶を飲んだことないなと思い、今回台中市の無為草堂というところに行ってみました。 日本風でありながらちょっと中華風の雰囲気もある茶藝館です。ここで ...
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台湾茶の良いところは何種類もあるところです。味も香りもそれぞれ微妙に違っていて、奥深さを感じます。飲み比べをするのは想像以上に楽しいものです。
しかし日本ではなかなか手に入らないレアな台湾茶もありますし、梨山や杉林渓のような標高2500メートルクラスで栽培される最高級レベルの台湾茶はやはり台湾で買った方が安いです。
台湾で茶藝館やお茶屋さんを見かけたら是非、台湾茶を楽しみ、茶葉も買って帰宅後に台湾を味わいましょう。
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