日本にはない騎楼という独特の建築

台南市の騎楼
騎楼って知っていますか?
上の写真のようなところです。妙な建築ですよね。ここは何なんでしょうか?
このページは日本にはない騎楼って何?という疑問にお答えするとともに、騎楼を知って台湾旅行をより楽しむための記事です。
騎楼とは?

台北市迪化街の騎楼
騎楼(台湾語では亭仔脚と言います)とは通りに面した建物の1階部分をくり抜き、通行できるようになっているスペースのことで台湾全土で見られる建築です。
騎楼(きろう) 台湾華語(中国語)ではチーロウ(Qí lóu)と呼びます。
この商店街のアーケードのような屋根。台湾に行ったことがある人は見たことがあると思いますし、知らず知らずのうちに歩いていると思います。今日はこの騎楼がテーマです。
騎楼の起源
騎楼は台湾だけのものではありません。実は世界中で見られる建築様式です。
古代ギリシャには既にこの建築要素が見られたそうで、現在のヨーロッパでも散見されます。また中国の南部地域やマレーシア、シンガポールなど東南アジアにも騎楼はあります。
実際に台湾に入ってきたのは約250年前清の時代に広州や福建から流入した人たちによって伝えられ、日本統治時代においても日本はこの様式を取り入れた法整備を行い、街を形成していったようです。
騎楼の良いところ

台北市の騎楼
良いところは雨と日差しを凌げるところです。夏には強烈な太陽が照り付け、雨も多い台湾にぴったりですね。
だからこそ台湾で広まり、現在も使われているのでしょう。地元の人も観光客も騎楼があるところはできるだけ騎楼を歩きます。
バイクの多い台湾では車道を歩くと危険なのは知っての通りです。安全面でも騎楼は重要な役割を果たしています。
また街の景観を形成する上でも古くからの老街を見てもわかるように非常に大切なポイントです。
また、この騎楼部分は建物の所有者のものではありますが、行政による騎楼建築地区内では騎楼を作ることが現在でも義務付けられており、騎楼を作る代わりに建ぺい率が100%となって、所有する全ての土地の区画を使えるようになるそうです。
だからこそ騎楼は隣の建物と連続しており、意味を成すものとなっているのですね。所有者にとっては土地を有効活用できることがメリットです。
騎楼のメリット
- 雨と日差しを凌げる
- 安全
- 綺麗な景観
- 所有者にとっては建ぺい率100%になり、土地を有効活用できる
騎楼の悪いところ

台北市の騎楼
騎楼は各店舗の1階部分を公共スペースとして提供している形になっています。
なので隣の店舗との床(路面)の段差がある場合があります。これは普通の歩行者でも危ないですし、車椅子の人などはとても移動できません。
また、騎楼部分にバイクや車が駐車してあったり、屋台が出ていたり、店の売場スペースになっていたり、物が置いてあったりするところが多数あります。これらも歩行者からすると邪魔ですね。
ただ一方では駐車場や駐輪場が不足している事実があったり、あくまで騎楼部分の持ち主は建物所有者ですので、店を広げて営業するのが悪いのかどうかはわかりません。
ある意味、そういう線引きのゆるいところが台湾らしいとも言えます。
騎楼のデメリット
- 床に段差があって歩きにくい
- バイクや車、物があって邪魔
他の国の騎楼
騎楼は台湾だけのものではありません。ヨーロッパ、中国、東南アジアにも散見されます。いくつか見てみましょう。

チェコ共和国
https://twitter.com/buketaoshai/status/991901883856924672?s=21
チェコ・プラハ (2002年)
工具屋さん? 美しい曲線を持つ騎楼建築。 pic.twitter.com/1O12oAzC2a— 路地裏@株式投資×ライフシフト (@rojiuratoshi) January 19, 2021
イタリア・パドヴァ (2002年)
ポルティコ(柱廊)が中国華南の騎楼建築のように感じられた。 pic.twitter.com/NMLqwR55hH— 路地裏@株式投資×ライフシフト (@rojiuratoshi) January 14, 2021
感想&まとめ
台湾では全ての場所に騎楼があるわけでもありません。ただ老街などの古い建物が続く場所でも、比較的近代的な地域でも見られます。
こういった騎楼は香港や中国の広州などでは一部取り壊されて減ってきているという話もあります。
台湾の騎楼は私は大好きで、良くも悪くも台湾らしさを感じるところです。お店の様子を眺めながら騎楼を歩き、これは何の店だろうと興味津々で立ち止まったりします。
騎楼部分で記念写真を撮るのもオススメです。明らかに日本ではない感が出ますよ。観光地ではない場所でも良い記念写真になります。
生活感がにじみ出ている場所があったり、バイクや車が放置されていたりもしますが、それらも含めて今後も残り続けて欲しいですし、新しい街にもこの騎楼を取り入れてもらいたいなと思います。
