日本にはほとんどない騎楼という独特の建築
騎楼って知っていますか?
上の写真のようなところです。台湾に行けば必ず目にするし、歩くことになります。
妙な建築ですよね。ここは何なんでしょうか?
日本の商店街のアーケードとは違う感じですよね。
このページは日本にはほとんどない騎楼って何?という疑問にお答えするとともに、騎楼を知って台湾旅行をより楽しむための記事です。
騎楼とは?
騎楼(台湾語では亭仔脚と言います)とは通りに面した建物の1階部分をくり抜き、通行できるようになっているスペースのことで台湾全土で見られる建築です。
騎楼(きろう)の読み方 台湾華語(中国語)ではチーロウ(Qí lóu)と呼びます。
この商店街のアーケードのような屋根。でも屋根ではなく2階部分は家になっているのです。
台湾に行ったことがある人は見たことがあると思いますし、知らず知らずのうちに歩いていると思います。今日はこの騎楼がテーマです。
騎楼の起源
騎楼は台湾だけのものではありません。実は世界の色んな国で見られる建築様式です。
古代ギリシャには既にこの建築要素が見られたそうで、現在のヨーロッパでも散見されます。また中国の南部地域やマレーシア、シンガポール、香港などアジア地域にも騎楼はあります。
古代ギリシャからヨーロッパに伝わったこの建築様式は、18世紀後半にイギリス人がインドに来た時、非常に暑いと感じたそうで、日差しを遮るためにこのような外廊式建築を使ったことが始まりと言われています。
この建築様式はすぐに地元民に真似をされ、広まったそうです。
イギリスの植民地が広がるにつれ、南アジアから東南アジアを経て中国に伝わりました。
実際に台湾に入ってきたのは、約250年前清の時代に広州や福建から流入した人たちによって伝えられたとも言われますから、中国には既にヨーロッパから別ルートで伝わっていたのかもしれません。
日本統治時代においても日本はこの様式を取り入れた法整備を行い、街を形成していったようです。
騎楼の良いところ
良いところは雨と日差しを凌げるところです。夏には強烈な太陽が照り付け、雨も多い台湾にぴったりですね。
だからこそ台湾で広まり、現在も使われているのでしょう。地元の人も観光客も騎楼があるところはできるだけ騎楼を歩きます。
バイクの多い台湾では車道を歩くと危険なのは知っての通りです。安全面でも騎楼は重要な役割を果たしています。
台湾の街並みをよく見ると道路沿いの建物の横にはエアコンの室外機がずらりと並び、また窓の外の網の花台に植木鉢などがあり、滅多にあることではないですが、これらが落下する事故も発生します。
特に台風や(小規模でも)地震があるとリスクは高まりますが、騎楼があれば安全です。
また街の景観を形成する上でも古くからの老街を見てもわかるように非常に大切なポイントです。
また、この騎楼部分は建物の所有者のものではありますが、行政による騎楼建築地区内では騎楼を作ることが現在でも義務付けられており、騎楼を作る代わりに建ぺい率が100%となって、所有する全ての土地の区画を使えるようになるそうです。
だからこそ騎楼は隣の建物と連続しており、意味を成すものとなっているのですね。所有者にとっては土地を有効活用できることがメリットです。
騎楼のメリット
- 雨と日差しを凌げる
- 基本的に安全
- 綺麗な景観
- 所有者にとっては建ぺい率100%になり、土地を有効活用できる
騎楼の悪いところ
騎楼は各店舗の1階部分を公共スペースとして提供している形になっています。
なので隣の店舗との床(路面)の段差がある場合があります。段差どころか小さな階段になっているところすらあります。
これは普通の歩行者でも危ないですし、車椅子の人などはとても移動できません。
また、騎楼部分にバイクや車が駐車してあったり、屋台が出ていたり、店の売場スペースになっていたり、物が置いてあったりするところが多数あります。これらも歩行者からすると邪魔ですね。
ただ一方では駐車場や駐輪場が不足している事実があったり、あくまで騎楼部分の持ち主は建物所有者ですので、店を広げて営業するのが悪いのかどうか・・・?
通行を目的としているため原則的には騎楼に物を置いて、通行を妨げてはいけないそうです。
しかし、ある意味、そういう線引きのゆるいところが台湾らしいとも言えます。
ただ歩行者からすれば、バイクや物が置いてあったとしても何とか歩ける幅の通路は確保しておいてほしい気がします。
完全に歩けないところも多々あって、そんな時は車道を歩くしかない場合も多いのです。危険度が増します。
メリットのところで地震の時に上から落ちてくるものを防げると言うことを書きましたが、大地震の時は騎楼の柱自体が倒れ、建物が傾いたり、崩壊するリスクはあります。
2024年4月に発生した花蓮を震源とする大地震で、建物が傾いている映像をテレビなどで見た人も多いと思いますが、それらの一部は騎楼部分の柱が倒れたことが原因とも言われています。
大地震に遭遇してしまった場合は、すぐに騎楼から離れましょう。
騎楼のデメリット
- 床に段差があって歩きにくい
- バイクや車、物があって邪魔
- 大地震発生時は危険
他の国の騎楼
騎楼は台湾だけのものではありません。ヨーロッパ、中国、東南アジアにも散見されます。いくつか見てみましょう。
チェコ共和国
イタリア
シンガポール
中華人民共和国
他国の騎楼を見ると、結構綺麗な印象です。これはこれで素晴らしいですね。
台湾は場所にもよりますが、比較的乱雑というか、生活感が滲み出ているというか、ゴチャゴチャ感があって、それが台湾らしさを演出していて、私は好きです。
台湾の騎楼感想&まとめ
台湾では全ての場所に騎楼があるわけでもありません。ただ老街などの古い建物が続く場所でも、比較的近代的な地域でも見られます。
こういった騎楼は香港や中国の広州などでは一部取り壊されて減ってきているという話もあります。
台湾の騎楼は私は大好きで、良くも悪くも台湾らしさを感じるところです。お店の様子を眺めながら騎楼を歩き、これは何の店だろうと興味津々で立ち止まったりします。
騎楼部分で記念写真を撮るのもオススメです。明らかに日本ではない感が出ますよ。観光地ではない場所でも良い記念写真になります。
生活感がにじみ出ている場所があったり、バイクや車が放置されていたりもしますが、それらも含めて今後も残り続けて欲しいですし、新しい街にもこの騎楼を取り入れてもらいたいなと思います。
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