台湾グルメの代表格小籠包とは
台湾に行ったら多くの人が小籠包を食べると思います。何度も台湾に行っているのに食べたことがないなんていう人はまずいないはず。
小籠包(シャオロンバオ、Xiǎo lóng bāo、英語ではxiaolongbaoまたはsoup dumplingと言います)はもちろん中国から台湾に伝わりました。
中国、台湾をはじめ、香港、マレーシア、シンガポールなどアジアで広く庶民に親しまれており、日本でも中華街などで食べることができますし、専門店もあります。
一応言っておきますが、小籠包は台湾を代表するグルメの一つではありますが、台湾料理ではありません。元は中国大陸なので中華料理です。ただし台湾で進化した部分もあります。
今日はそんな台湾の小籠包のお話です。台湾の小籠包をまだ食べたことがない人は是非読んでみてください。
小籠包発祥の地
小籠包の原型は中国の北宋時代(西暦960-1127)に遡ると言われています。包子(肉まん)の一種で蛮頭とは呼ばれていたこの料理は、やがて読み方が同じ饅頭と呼ばれるようになりました。
北宋が滅んだ後、中国大陸南部にも広がり、富裕層から一般庶民までが食べる料理となったようです。
小籠包という名前の起源は諸説あり開封市説や無錫市説などもありますが、一般には小籠包の名前は上海市が起源と言われています。
一方湯包の起源は開封市と言われているものの、江蘇省の無錫市や南京市も小籠包が有名です。
上海市起源説では1871年に上海市嘉定区にあった古猗園と言う店で売り出された南翔大肉饅頭が起源とされています。
これが人気になり、他の店も同様のものを売り出し、後に南翔小籠と呼ばれ、これが小籠包の名前の由来と言われています。ちなみに南翔とはこの辺りの地域の名前です。
上海料理として小籠包は最も有名な点心であり、日本でも「南翔饅頭店」や「南翔小籠」といったお店があります。
また南翔小籠包は中国国家無形文化遺産に登録されています。(人民網)
台湾の小籠包
台湾に小籠包が伝わったのは、1949年の蒋介石の中華民国政府が台湾に来てからとされています。
中国本土の小籠包は一般庶民が食べるB級グルメ的存在でしたが、台湾ではそれに加え鼎泰豊(ディンタイフォン)のような高級レストランでも提供されるようになったのは大きな特色です。
また台湾では小籠包の中でも皮の中にスープが入ったものを小籠湯包(または単に湯包)と呼ぶこともあります。
中国語で言う「湯」とは「お湯」ではなく、「スープ」のことです。お湯は熱水と書きます。
日本人にわかりやすく言うとこんな感じです。
- 小籠包(または肉包)=小ぶりな肉まん
- 小籠湯包(または湯包)=肉汁たっぷりな小ぶりな肉まん
しかしこれは現在ではその線引きは曖昧です。「小籠包」と言う単語自体の知名度が非常に高く、「湯包」として売るよりは「小籠包」として売った方がわかりやすいため売れるからです。
そのため街中で食べることができる小籠包も肉汁たっぷりなものがたくさんあります。それでも小籠湯包(湯包)として売っている店はどちらかというと観光客向けではないお店が多いようです。
また台湾では餡に豚肉以外の材料を使った小籠包も多いです。エビやカニ、しいたけ、チーズ、バジル、抹茶、ニンニク、フカヒレなどの餡が入ったものもあり、焼き小籠包を提供するお店やチョコレートやあんこを入れてデザートのように提供するお店もあるそうです。
台湾では朝ごはんでも昼ごはんでも夕飯でも小籠包を食べることがあります。小籠包は台湾のソウルフードとなってきているので、中国との違いも出てきていますね。
日本の肉まんとの違い
まずは大きさが全然違います。
肉まんと小籠包
肉まん = およそ直径10cm、重さ150g
小籠包 = およそ直径3cm、重さ30g
日本の肉まんは皮はパン生地になっていますが、小籠包は小麦粉をメインにした皮です。イメージは日本の餃子の皮に近い感じです。また、小籠湯包の場合はこの皮が非常に薄く、中が見えるくらいのレベルであることも多いです。
更に日本の肉まんは餡に既に味が付いているものが多く、そのまま食べるのが普通ですが、小籠包は後述しますがスープが多いので食べ方も違います。
小籠包の肉汁
上記のように小籠包には肉汁が少ないものと多いものがあります。ではあの肉汁はどうやって出すのでしょう?日本の肉まんにはあんなに多く肉汁は入っていませんよね。
一般には豚や鶏のゼラチン(煮凝り)を豚の挽肉に混ぜて蒸すことでゼラチンが溶けて中でスープになり、あの肉汁が再現できるそうです。
豚や鶏以外にも牛や魚介などを使ったりする店もあるようで、このアレンジの仕方によって店ごとに味もスープの量も大きく変わってきます。
中の餡は豚肉をメインに使いますが、野菜やキノコ、エビやカニなどの具材を混ぜる店もあり、これらの具とスープの元となるゼラチンが蒸籠で蒸され、美味しいスープとなるわけです。
材料さえあれば簡単な料理と思われるかもしれませんが、蒸す時間は非常に重要で、長く蒸してしまうと中のスープも蒸発してしまいます。
逆に言うと蒸す時間を決めるためには、餡の具材やゼラチンの量、そして皮の厚さや重さ、細かく言えばヒダの数なども含めて全て同じ大きさにしないとなりません。これには熟練の技が必要になります。
一応断っておきますが、肉汁が多いから良い店、肉汁がない店はダメなどと言うことはありません。
あえてスープなどを入れずに肉の味わいを楽しんでもらおうとしているお店もあります。元々小籠包というものはそのような料理です。
ひょっとしたら「スープなんか入れるのは邪道!」と思っている頑固な店もあるかもしれません。
小籠包の食べ方
食べ方は絶対の方法ではありません。好きな食べ方で問題ありませんが、効率良くスープも小籠包も味わう一般的な食べ方はこんな感じです。
小籠包の食べ方
- レンゲに小籠包を乗せる
- 箸で小籠包の皮を割る
- 中のスープをある程度レンゲに移して飲む
- 醤油、黒酢、辣油、生姜などお好みで味を付けて残った小籠包を食べる
スープがほとんどないタイプの小籠包はいきなり4で問題ありません。しかし熱々のスープがたっぷりと中に入っている小籠包はいきなり4で食べると本当に火傷します。想像を絶するくらいの量の、しかも熱々のスープが入っている店もあります。
台湾で小籠包を注文すると必ず刻んだ生姜が付いてきます。これを小籠包と一緒に食べると本当に美味しいです。生姜があまり好きではない人も是非一度お試しください。
台湾小籠包のおすすめ店
おすすめ店はちょっと検索すればネット上にいくらでも紹介されていますし、ガイドブックにも山ほど掲載されていますのでそれらを参考にするのも良いでしょう。
鼎泰豊とかを書いても無意味だと思うのであえてその手の有名店は書きません。ネットで「台湾 小籠包 おすすめ」で検索するとほぼ同じ店が紹介されています。
何でこうも同じ店ばかりなんですかね、しかも台北ばかり。
小籠包とは元々庶民的な食べ物で、いわばB級グルメです。私は高級な店で食べたいとは全然思いません。また日本人観光客ばかりの店で食べたいとも思いません。
むしろ台湾の街角にある地元民が通うような小さな飲食店で食べる小籠包こそ、リーズナブルな割に美味しく感じます。
店員は地元のおばちゃんに限ります。安っぽいテーブルに調味料が部屋の隅にまとめて置いてあるような店です。
日本にも支店があるような高級店では台湾らしさを全く感じません。料理はその食べるシチュエーションも大事だと思っています。
台湾の雰囲気を存分に味わいながら食べる小籠包は非常に美味しく感じられ、コスパも最高です。有名店の半額〜1/3程度の価格で十分に美味しい小籠包を提供する店は探せばいくらでもありますよ。
例えば・・・
正好鮮肉小籠湯包
台北市の臨江街觀光夜市の近くにあるこのお店。小さなお店で、家族経営っぽく、店員はおばちゃんです。こういう店で食べる小籠包こそ至高です。
ここは店名にあるように美味しい小籠湯包を提供してくれます。熱々のスープが中に閉じ込められていることと、多めに入っている美味しいネギの甘みが口の中で一緒になり何とも言えない美味しさです。
天津苟不理湯包
台中駅から近いこのお店は朝ごはん屋さんですが、メインは店名通り湯包です。地元民に大人気のこのお店、観光客向けの高級店とは程遠いお店ですが、とにかく湯包に閉じ込められたスープの量がすごいです。
しかしこの店の湯包はいわゆる肉包です。小ぶりな肉まん(豚まん)と思えばOKです。小籠包ではありませんが、肉汁の凄さを体験できます。
台中に行ったら熱々のスープがたっぷり入った絶品の湯包を是非味わってみてください。詳しくは下記を参照。
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まとめ
私は行かないのでわかりませんが、聞いた話によるとガイドブックに載っているような台北の有名店は客も日本人だらけだそうです。
日本語が周りで聞こえる環境で食べても美味しいのだろうと思いますが、私はそういう環境で台湾グルメを味わいたいとはあまり思いません。
ちょっと変人なのかもしれませんが、もっとローカルなお店、夜市、屋台。そんな場所で食べる台湾グルメこそ最高だと思っています。
次に台湾に行く時も気になったローカル店や夜市の店にふらっと立ち寄って、小籠包をはじめとした台湾グルメを満喫したいですね。
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