沖縄・北海道・台湾にスギの木はあるのか?
花粉症と言えばスギ花粉症が日本で最も多いそうで、2,500万人もいると推定されているようです。つまり5人に1人は毎年花粉症で辛い日々を送っていると言うことになります。
花粉症はヒノキやブタクサなど他の樹木の花粉でも起こりえますが、花粉症の70%の人はスギの花粉が原因と言われています。次に多いのはヒノキ、ブタクサです。(厚生労働省)
私も以前は東京に住んでいましたので毎年薬を飲み続け、それでも花粉飛散量の多い日には目の痒みや鼻水に悩まされました。
しかし沖縄に引っ越した今、薬も飲んでいないのに花粉症の症状は皆無です。理由は明確です。
沖縄にはスギの木がほぼないからです。
結論から言うと様々な角度から考えても花粉症の時期は沖縄が最強です。
沖縄には何故スギの木がないのか?
そもそもスギの木は日本本土には昔から自生していました。しかしスギ花粉症が発見され認知されたのは1964年に発表された論文が最初と言われており、意外と最近なのです。
大昔から大勢の人がスギ花粉に悩んでいたわけではないのです。1960年代以降にスギ花粉症を発症する人が飛躍的に増えたと言うことになります。
この頃何があったのか?実は国をあげて大規模なスギ植林が行われたのです。
第二次世界大戦の復興のため大量の木材が必要になり、当時の農林省は成長の早いスギやヒノキをどんどん植林したのです。この植林は同時に水害防止になり正に一石二鳥。
そんなわけでスギの木が大量に植林されたものの、同時にスギ花粉も大量に飛散し、花粉症を発症する人が増え続けたわけです。
一方で沖縄ではこの時期、第二次世界大戦終了後はアメリカの統治下に置かれており、日本政府の管轄外であったためスギもヒノキも植林は実施されませんでした。
沖縄が日本に復帰したのは1972年。この頃には沖縄にも植林をという話にはならなかったようです。
そんなわけで沖縄にはスギやヒノキが少ないのです。元々自生しているものがあるにはあるものの沖縄の森林面積の0.3%(東京は40%)と言われており、これが増えないのは沖縄の強烈な台風の風に耐えられないからとも言われています。
台湾にもスギの木はないのか?
どの程度かは不明ですが、台湾にはスギもヒノキも自生しています。日本統治時代にはスギの木の植林も行われていたそうです。
しかし現在ではスギは非常に少なく、ヒノキの方が多いと言われています。植林したのにスギが増えないのは沖縄同様台風の影響もあるかもしれません。一般にスギはヒノキよりも柔らかい性質があります。
しかしこれは山奥に限った話で、街中にいる限り日本では花粉症であっても台湾では発症しないケースが多いです。飛散量自体が日本本土と比較してかなり少ないのだろうと思われます。
メチル化カテキンとは?
台湾人が花粉症を発症しないのには他にもう一つ理由があるとも言われます。
その理由は台湾人が日常的に飲む台湾烏龍茶にメチル化カテキンと言う成分が含まれており、この成分がアレルギーを抑制する働きがあるからとも言われています。
メチル化カテキンについては国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構が研究を進め、日本ではべにふうき茶に多く含まれることが判明していますが、これが台湾烏龍茶にも同様に多く含まれていることがわかってきています。
つまり台湾人が花粉症にならないのは
スギ花粉やヒノキ花粉の飛散量が少ない + 台湾烏龍茶を日常的に飲む
この効果で台湾人は花粉症?ふーん、何それ?と言う状態になるようです。
ただし日本人が旅行に行く場合は、風向きなどによっては街中にいてもヒノキ花粉が飛散している可能性があるので花粉症を発症する場合もあります。ご注意を。
ちなみにこのメチル化カテキンは一般の緑茶や紅茶にはほとんど含まれておらず、台湾烏龍茶に多く含まれています。
緑茶の中でもべにふうき茶には多く含有されていますが、台湾烏龍茶である凍頂烏龍茶の方が多く含有されているという報告もあります。一般には両方とも100g中2g前後含有されているようです。
また、べにふうき茶は本来は紅茶の品種であるものをメチル化カテキン摂取のために無理やり緑茶として飲むので苦い上にカフェイン含有量も多いです。
一方の台湾烏龍茶はすっきりとした烏龍茶の美味しさそのものである上に、カフェイン含有量も少ないので寝る前に飲んでもOKです。
台湾烏龍茶は手が出ないほど高いものもありますが、比較的手頃に飲める凍頂烏龍茶あたりがおすすめです。べにふうき茶を買うのとほとんど変わらない価格です。
お茶 | メチル化カテキン含有量 | カフェイン含有量 | 味 | 価格 |
べにふうき茶 | 同等 | 多い | 苦い、渋い | 同等 |
凍烏龍茶 | 同等 | 少ない | 美味しい | 同等 |
注意
台湾烏龍茶は薬ではありません。また効果・効能には個人差があります。ただしポリフェノールの一種であるメチル化カテキンにはアレルギー抑制効果があることは医学的・科学的に実証されています。
花粉症の人は台湾より沖縄に来た方が良い
沖縄にはスギもヒノキのほぼ皆無。台湾にはスギは少なくてもヒノキは山林部にそれなりに自生しているのでヒノキアレルギーがある人は要注意という結論になります。
実際に台湾に住んでいる日本人でもヒノキに反応して花粉症を発症したという人をネット上でも見かけます。
北海道も花粉症がない?
花粉症の人は北海道に行った方が良いとも言われていますが、北海道にも実はスギの木はあります。しかし沖縄同様に非常に少なくスギ花粉症になる人は全国で最も少ないと言われています。
ちなみに2008年というやや古いデータですが、スギ花粉症の都道府県別有症率というデータがあるのでこれによると、トップ3は
スギ花粉症都道府県別有症率上位ベスト3 | |
都道府県 | 有症率 |
山梨県 | 44.5% |
高知県 | 41.2% |
栃木県 | 39.6% |
このデータでは東京都は32.4%でした。全国平均は26.5%となっています。やはり山が多い地域は花粉症の人が多いようです。
スギ花粉症都道府県別有症率下位ベスト3 | |
都道府県 | 有症率 |
北海道 | 2.2% |
沖縄県 | 6.0% |
宮崎県 | 8.2% |
確かに北海道は日本で一番スギ花粉症の人が少ないのです(とは言えスギは道北に少なく、道南には自生しているようです)。
北海道にはヒノキも同様に少ないので最も安全かと思いきや、北海道にはシラカバ花粉症、ハンノキ花粉症、ヨモギ花粉症、カモガヤ花粉症(イネ科花粉症)という他の地域にはほとんどない花粉症があるのです。
北海道で最も多いと言われるシラカバ花粉症ですが、これは本州から沖縄ではほとんど見られません。シラカバ花粉症は春〜初夏に最も多く発症します。
スギ花粉症の時点であなたはアレルギー体質であることは明らかで、他の花粉症も併発する可能性は高くなります。それを考えると春から夏にかけての北海道は安全ではありません。
春から初夏の季節を満喫するなら沖縄に旅行に来た方が安全です。台湾よりも北海道よりも花粉症の心配はほぼありません。可能ならもう引っ越した方が良いと思います。花粉症から解放されますよ。
まとめ
まとめ
- 沖縄 = スギもヒノキも少ない
- 北海道 = スギもヒノキも少ないがシラカバなど他のアレルゲンが飛散している
- 台湾 = スギは少ないがヒノキはやや多い
私は東京に住んでいた昨年まではひどい時はくしゃみが止まらず、鼻水は止まらず、目から涙を流し、身体中が痒くなり、頭も痛くなるような花粉症でしたが、沖縄は本当に快適です。
花粉症の辛い時期に国内の山間部に旅行に行く猛者はいないと思いますが、この時期は旅行に行くなら是非沖縄へ。もしくはまだ寒いですが北海道が無難です。
台湾は秋にでも行きましょう。ただし秋の台湾にはブタクサは多いですのでご注意を。