台湾の治安状況を日本と比較しながら徹底解説
「台湾は日本と同じくらい治安が良い」なんていう話を聞きます。世界には想像を絶する犯罪多発地域も多々ありますが、確かに台湾は比較的良いように思えます。でも実際はどうなのでしょう?
何度も訪台している皆様は体感的にどういう点に注意していれば良いのか把握できると思いますが、初めて台湾に行く人は不安もあると思いますので、ここでは台湾の治安状況を最新のデータを元に深掘りしていきたいと思います。
台湾はまずまず安全な国です
結論から言うと台湾は比較的安全な国だと言えます。
オーストラリアのInstitute for Economics and Peace(経済平和研究所)と言う国連と同レベルで世界で最も公に信頼される非営利機関が毎年世界平和度指数というものを毎年発表しています。
この世界平和度指数は23の指標を分析し数値化したもので、例えば国際紛争、難民の数、殺人件数、テロ、警察官の人数、投獄人数、軍事支出、軍人数など細かい指標があります。
これによると2022年、世界163の国と地域の中で台湾は30位でした。ちなみに日本は10位でした。
世界的に見れば確かに安全と言えますが、日本よりは安全度は低い点にまずはご留意ください。
台湾の犯罪件数
日本と比較しながら台湾の状況を把握していきます。まずは刑法犯認知件数について。(以下の人口10万人あたりの数値は小数点以下を四捨五入しています)
2022年 | 刑法犯認知件数 | 人口 | 人口10万人あたり |
台湾 | 245,499件 | 2326万人 | 1055件 |
日本 | 601,389件 | 1億2494万人 | 481件 |
件数で見ると台湾は少なく見えますが、そもそもの人口が違いますので、人口10万人あたりの犯罪件数を計算すると台湾は日本の倍以上(約2.2倍)犯罪が発生していることになります。
ちなみに台湾の245,499件の犯罪の内、殺人や強盗、強制性交などの凶悪犯罪は減少してきており、増加しているは窃盗や詐欺です。
窃盗について
日本人などの旅行者が最も被害に遭いやすいのは窃盗です。スリや置き引き、ひったくりなどですね。
特に人が多い場所で発生することが多いようです。日本台湾交流協会の情報によると、
台北市内の国立故宮博物院、忠烈祠、中正紀念堂、龍山寺、永康街、台北101、世界貿易センター、西門町、士林夜市、饒河夜市及び寧夏夜市、新北市内の九份、高雄市内の蓮池潭、六合夜市及び瑞豐夜市等の各種観光地を始め、各種飲食店、空港や駅等で窃盗の被害が確認されています。
どこの街が危険とか言うよりも観光地や夜市など人が多い場所が危ないと言うことがわかると思います。
ネット上には台湾のどこの街が治安が悪い、などという情報も目にしますが、何のデータも裏付けもない情報は単なる憶測や感覚ですのであまり信じない方が良いです。
例えば東京在住者に「23区内で治安の悪い区は?」と聞いてもデータに則った正解を言い当てられる人は少ないです(ちなみに足立区ではないです)。
つまり台湾在住者でさえ、どこの街で犯罪が多いのかなど正確に知っているはずもないのです。とにかく人が多い場所では特に気を付けることを念頭に行動しましょう。
さて、窃盗についてですが特にスリはグループで行動していることも多いらしく、一人がぶつかってきて気を逸らしている間にもう一人がバッグから財布を抜き取るなんて連携プレイもあるようです。
またマッサージ店では女性が強制猥褻やセクハラの被害に合うケースも報告されています。(外務省海外安全情報)
詐欺について
上記の窃盗以外に下手すると気が付かない内に被害に合っているかもしれない事案があります。
まずはタクシートラブルです。遠回りをされた、料金を過大に請求されたなどのケースは場合によっては気が付かない場合すらあります。
そしてもう一つはスキミングです。クレジットカード情報を不正に読み取り悪用する手口の犯罪です。これも少額であれば明細を確認せずに気が付かない場合もあります。
ただし、スキミングで大きな被害があったという事例は、少なくても日本台湾交流協会には報告されていませんので、過度に警戒することもないと思われます。
心配な方はナンバーレスカードを使用し、タッチ決済できるカードを用意しておくと良いでしょう。
犯罪被害への対策
まずは犯罪も含めて現在の台湾の安全地域を確認しましょう。
アプリもダウンロードしておくと安心です。
これらは犯罪だけではなく、新型コロナウィルスなどの疾病症の蔓延、地震や台風などの自然災害時にも役に立ちます。
後述しますが、「たびレジ」にもここから登録できます(ブラウザに飛ばされるだけですが)。
外務省 海外安全アプリ
MINISTRY OF FOREIGN AFFAIRS OF JAPAN無料posted withアプリーチ
旅行者の中でも日本人はお金を持っていると思われがちです。外務省による対策案は
○多額の現金や貴重品は持ち歩かない、現金等は人前では不用意に見せない。
○目立たない服装や行動を心がける、過度な肌の露出は避ける。
○夜間には、人通りの多い場所を選んで歩き、人通りの少ない場所や薄暗い場所を通らない。
○財布、旅券等を入れたバッグ(特にショルダーバッグ)を携帯する際には、身体の前で抱えるなど、取り出し口が自分の視界に常に入るように工夫する。
○相手が日本語を話す場合でも、見知らぬ人の誘いには乗らず、執拗な誘いは毅然と断る。
○過度な飲酒は控えるとともに、飲酒後に冷静な判断力を欠く際には、宿泊ホテルにまっすぐ帰る。
○強盗等の被害に遭った場合には、抵抗せず、生命・身体の安全を最優先する。出典:外務省海外安全情報 | 台湾
当たり前かもしれませんがまずはこれらを頭に入れた上で、対応策を各自考えましょう。
スリ対策
スリ対策としてよくセキュリティポーチ(薄型で身体に密着し、服の下で装着するウェストポーチ)が推奨されますが、台湾は暑いのでセキュリティポーチの上にシャツ1枚羽織る程度では、シャツを捲られた瞬間に外されてしまうので危険です。
セキュリティポーチから財布を出し入れしているのを悪い奴に目撃されていたら、かなり危険です。また「私はセキュリティポーチを使っているから安心」というのも油断につながります。
セキュリティポーチやウェストポーチはバックルを瞬間で外されます。コートでも羽織っていれば防御策として機能しますが、これは暑い地域には不向きですので私はあまりおすすめしません。
スリ対策としてはトートバックやショルダーバック、リュックなども良いとはとても言えません。ではどうするのか?
スリ対策
- トートバックはNG(どうしても使いたいなら最低でもチャック付き)
- ショルダーバックやリュックはカバン部分を体の前に持ってくる
- 貴重品は分散して持つ(衣類のポケット+カバンの中数ヶ所など)
- 財布は紐付きのものを用意し服やバッグに紐を付けておく
- パスポートホルダーも紐付きにしてバッグに付けておく
こんな感じでリスク管理をしましょう。
マッサージ店での対策
女性でマッサージ店に行く場合はできるだけ同性の施術者にしてもらうなども対策にはなると思います。
また、ある程度大きな有名店や口コミの情報を見ることも参考になると思います。飛び込みで適当な店に行くのは避けましょう。
タクシートラブルの対策
タクシートラブルの対策は簡単です。Uberを使いましょう。Uberを使えば全てのトラブルを最大限に避けることができます。安全、安心のために是非Uberを使ってください。特に女性の場合は絶対にUberおすすめです。
→ 台湾ではタクシーよりUber taxiがおすすめ!使い方とメリット
しかし、台湾全地域でUberが利用できるわけではありません。Uberが使えない場合は、可能な限り個人タクシーを避け、会社のタクシーを使ってください(台湾大車隊など)。
スキミングの対策
スキミングについてはクレジットカードを使う場合は最低でもナンバーレスカード(エンボスレスカード)にすることと、ICチップ型にすること、暗証番号を誰にも見られないようにすることが挙げられます。
万が一被害にあった場合はすぐに警察に届けることと、クレジットカード会社に連絡することです。
また可能な限りクレジットカードを使わず、悠遊カードなどの電子マネーや、Apple Pay・Google Payなどのモバイル決済を使うというのも対策になると思います。
→ 台湾でPayPayって使えるの?台湾のモバイル決済の現在地
→ 悠遊カードしか持ってない?台湾のICカード(電子マネー)を詳しく解説
台湾の交通事故件数
犯罪に巻き込まれる以上に注意が必要なのは交通事故です。
人口10万人あたりの数値を見ると台湾で交通事故に遭う確率は犯罪被害に遭う確率より約1.5倍も大きいのです。
2022年 | 交通事故件数 | 人口10万人あたり |
台湾 | 375,632件 | 1,615件 |
日本 | 300,839 | 241件 |
日本と比較すると交通事故件数は約6.7倍、死者数も約6.5倍あります。
実際に私も何度か台湾で交通事故現場を見ています。
上の写真は台中市某所でのバイク同士の接触事故です。ガシャーン!と大きな音がして振り向いたらこうなっていました。
大人2人乗りのバイクと子連れお母さんのバイク同士のようでした。どちらが悪いのかわかりませんが、大人2人乗りの方の男は子連れお母さんを大声で罵倒しまくっていました。
しかも恐ろしいのは周囲の人は見慣れた、ありふれた光景だからなのか誰も見向きもしないことです。この後、子連れお母さんの方に声をかけましたが、骨折など大きな怪我はしていないようでした(服が破れたり擦り傷などはありました)。
この程度の接触事故の場合は台湾人は警察すら呼ばず、当事者同士で話し合って解決することが多いようですので、実際は報告されている事故件数よりもっと多い可能性が高いです。
このように台湾での交通事故は日常茶飯事になっているのです。
2022年 | 交通事故による死者 | 人口10万人あたり |
台湾 | 3,085人 | 13人 |
日本 | 2,610人 | 2人 |
そして一番の懸念は日本は交通事故は年々減少していますが、台湾は年々増加していることです。
台湾も何とかしようと考えてはいるようで、罰則を強化したり(2023/4/14フォーカス台湾)、取締りを強化したり(2023/5/1フォーカス台湾)といった対策をしています。
台湾に行ったことがある人は現実の交通マナーの悪さは知っていると思います。信号を無視して走る車、騎楼の下で人の間をすり抜けるバイクなど一歩間違えば誰でも事故に遭う可能性があります。
過去には日本人の死亡事故も複数発生しています。
下記は最近の交通事故事例です。
日本人の事故事例
- 道路を青信号で横断中に乗用車にはねられ、右手首を骨折
- タクシー乗車中に他のタクシーに衝突された
- 違法駐車を避けて車道を歩いていたところバイクに衝突された
- 横断歩道を横断中に左折してきた小型トラックと接触した
出典:日本台湾交流協会2022年、2023年の台湾安全情報
歩行者側が青信号でも平気でそれを無視する車やバイクもあります。また歩道や騎楼にバイクが駐車してあって、やむを得ず車道を歩かなくてはならない場合も多いのが現状です。
あるデータによると人生で交通事故により負傷する確率は日本は21.9%、台湾は80.0%にもなるそうです。また同じく交通事故で死亡する確率は日本は0.189%、台湾は1.030%にもなるそうです(THE NEWS LENS)。
台湾は人生で1回くらいは怪我をするような事故に遭い、また100人に1人は亡くなってしまうようです。
台湾人にこのことを聞いたら
日本では歩行者優先というのが常識ですが、台湾は車・バイク優先です。異国にいるという認識で日本の常識にとらわれずに行動しましょう。
交通事故への対策
なぜ台湾は交通事故が多いのでしょう?
台湾で交通事故が多い理由
- 運転マナーが極度に悪い
- 交通ルールを無視する
- 教習所が適当
- 警察の取り締まりが緩い
- そもそもバイクが多すぎる
日本のように「お先にどうぞ」「ありがとう」のような譲り合いはありません。車(及びバイク)同士でそれがないので、運転手は歩行者のことなどあまり考えていないようです。
そして台湾のドライバーは総じて運転が荒いです。バスはもう仕方ないですが、タクシーに乗る場合はタクシーはできるだけ避けて可能な限り上述のUberを利用しましょう。
Uberは運転手が評価されるため、運転手は慎重に安全に走ります。スピードを出しすぎることもありません。
また、歩行者として街を歩いている場合は、とにかく良く注意するしかありません。日本にいる時より6倍は注意しないとなりません。「まさかこんなところでスピードを上げないだろう」「まさか信号無視しないだろう」というのも油断です。
交差点だけが危ないわけではないですが、特に交差点では十分な注意が必要です。スマホを見ながら歩いていると本当に危ないです。
しかしどんなに注意していても不可抗力で交通事故に巻き込まれる場合もありえます。そんな時のために外務省も日本台湾交流協会でも海外旅行保険への加入を推奨しています。
保険会社の海外旅行保険に加入しても良いですが、おすすめは入会費・年会費無料のエポスカード付帯の海外旅行保険です。
ポイント
- 入会金、年会費無料
- 表面ナンバーレスのICチップ型タイプなので安心
- Visaブランドでお買い物もキャッシングも便利
- 傷害270万円、疾病200万円まで保証
詳細はこちらもご覧ください。
→ エポスカードはなぜ台湾旅行におすすめなのか?詳しく解説します
とにかく無料なので1枚作っておくと便利です。海外旅行には必須のクレジットカードです。ネットで申し込みできます。
情報弱者にならないための対策
窃盗や交通事故を防げるわけではありませんが、それ以外にも台湾など海外に行く場合は危険があります。
例えば台風や地震。最新情報は中国語ではわからない。近くでとんでもない事件が発生していても、何がなんだかわからない。
2024年4月、花蓮で大地震が発生しました。もしあなたが花蓮観光中だったら、情報弱者になって右往左往していたかもしれません。
そんな心配をなくすために、外務省が海外の最新安全情報をメールやLINEで配信するサービスを開始しています。
あらかじめ、台湾に行く日程を登録しておけば、台湾旅行中も台湾での最新の情報を外務省から受け取れます。
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台湾の治安まとめ
他に多いトラブルとしてはパスポートの紛失があるようです。空港で両替した時に起き忘れて紛失、タクシーや電車内に置き忘れて紛失、酔っ払ってどこかに紛失。
日本ではそんなミスは起こしたことがない人でも異国にいると何が起こるかわかりません。周辺の景色を見ていたり、スマホで写真を撮ったり、地図を見たりと注意は散漫になりがちです。
何事にも十分注意し、リスク管理を怠らないことが求められます。
台湾は世界的に見れば比較的安全ではありますが、日本よりはかなり危険です。特に交通事故には十分注意してください。
初めて台湾に行く人にはマイナス情報かもしれませんが、現実を知ってもらい、事前に注意を怠らないことで防げることも多いです。
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