台南市麻豆区散策-麻豆老街と3つの市場
麻豆代天府を見学した私は、そのまま歩いて麻豆区の中心地に向かいました。
→ 麻豆代天府は天国と地獄を味わえる道教の廟であり台南の穴場観光スポット
街歩きが趣味です。しかも行ったことのない街の散策は興味津々。
麻豆代天府に行くだけではもったいない。麻豆の街は雑多で庶民感溢れる台湾らしい街です。
有名観光地だけではない、台南市内でも観光客が少ないディープなスポットを探検したいあなたの参考になれば嬉しいです。
麻豆の基礎知識
台南市麻豆区は台南市のほぼ真ん中、やや北西寄りに位置する街です。
麻豆の歴史
この地域には遺跡や貝塚などの研究から数千年前から人類が居住していたと考えられています。
麻豆代天府のページでも少し言及していますが、麻豆にはかつては平埔族という原住民が住んでいました。
地名である麻豆の由来は麻も豆も関係なく、平埔族のMatta-au(この地域の中心地)という言葉に由来すると言われています(諸説あり)。
オランダ統治時代までは原住民が多く住んでおり、原住民はオランダの統治に反対し、反抗を繰り返していたようです。
台湾の歴史
台湾の歴史をわかりやすく解説していますので、参考にしてください。
その後、鄭成功がやってきて、オランダを追い出してからも原住民の力は衰えませんでしたが、清の時代になると徐々に漢人が増え、製糖産業が盛んになって栄えたようです。
日本統治時代に入っても、明治製糖株式会社が設置されるなど活発でしたが、戦後は徐々に製糖産業は衰退します。
戦後になると橋や高速道路、バスターミナルなど交通網が整備され、市内を走るバス以外にも台北や高雄へも向かう中長距離のバスの発着も増え、鉄道駅が設置されない代わりにバス網が発達します。
名産品としては、100年以上前から2000年代初頭までは漬物が有名で仁愛路29巷付近は漬物通りと呼ばれ、1トンの漬物が漬けられる巨大な木製漬物桶が目印にもなり、また漬物の匂いが常に周辺に漂っていたそうです。
今では酸菜文化園区というかつて漬物を漬けていた巨大な桶を保存する施設があるくらいしか名残はありません。
現在の麻豆は碗粿の有名店が多いことや文旦が有名で、市街地から少し離れると文旦畑を多く見かけます。
台南市麻豆区へのアクセス
麻豆市街だけ行きたいという人がどれだけいるのかわかりませんが、麻豆代天府のついでに寄る人が多いように思います。(私も麻豆代天府の後に寄りました)
麻豆代天府へのアクセス方法はこのページ冒頭にあるリンクを確認してください。
ここでは台湾鉄道台南駅から麻豆市街へのアクセス方法を記載しておきます。
電車+バス
台湾鉄道で隆田駅まで行ってから、橘10番バスに乗り一商前または電姫戯院あたりで下車すればOKです。
中距離バス
台南轉運站(台南バスターミナル)から台中駅に向かう1625バスに乗り、麻豆轉運站(麻豆バスターミナル)で下車。
市内バス
台南駅(南站)から橘11番バスまたは橘11-1番バスに乗り、麻豆分局で下車。
上の画像は帰りに麻豆分局バス停から台鉄台南駅に向かうバスの路線図です。
橘11番より橘11-1番の方が圧倒的に途中の停車バス停が少ないので、早く台南駅に戻れます。
のんびりバス旅を楽しみたい人はともかく、時間を有効に使うなら橘11-1番のバスを利用することをおすすめします。私は橘11-1番バスで台南駅に戻りました。
麻豆老街と呼ばれる日本統治時代の建物
台湾各地に老街はありますが、綺麗に整備され、保存されているところもあれば、廃れてしまっているところもあります。
麻豆老街はどちらかと言うと後者で、年を追うごとに日本統治時代の建物は壊され、残されている建物も保存されているとは言い難いものが多いのが現状です。
他の有名老街のような統一感のある街並みを想像してくると拍子抜けすると思います。
それでも街中に点在する古い建物を探したり、そもそも街歩きを楽しむにはなかなか良い場所だと思います。
老街とは
古い街並みを残した通りです。台湾の老街については下記を参照してください。
日本統治時代の1938年に日本人建築家によって建造された電姬戲院は、400席を有する映画館でした。
当時は無声映画やモノクロ映画でしたが、料金は高めだったため、来館者の多くは日本人だったそうです。
戦時中は閉館していたものの、戦後に再開。台湾の伝統芸能である布袋戲(ポテヒ)や演劇の公演場としても使われていましたが1987年に閉館しました。
その後1999年の「沙河悲歌」という映画や、2007年のカンヌ国際映画祭60周年記念で世界各国の有名監督が映画館を題材にした3分の映画を上映する企画でも取り上げられました。
2019年には座席や舞台などが取り壊されましたが、残された映画フィルムやプロジェクターなどは別の場所に保存されています。
建物に向かって左手に入口がありましたが、これは塞がれており、右手の出口からは内部を少し覗けますが、荒廃していました。
2階の窓ガラスも破られているし、とてもまともに保存管理している状態とは思えませんでした。残念です。
今後いつか(早い時期に)誰かがリノベーションして再活用してくれることを願うばかりです。
85℃(カフェ)になっているこの建物も日本統治時代に建てられたもの。荒廃せずに今も現役。かつては居酒屋だったとか。
案内板があるわけではないので、どの建物が日本統治時代のものなのかは良くわかりません。
中山路沿いにそれと思われる古い建物が点在する形です。
光復路沿いにもあるような情報がありましたが、私が散策した時はそれらしき建物は発見できませんでした。
この辺りもかなり古そうでしたが、取り壊されています。
古い建物を全て保存するというのは建物所有者だけでなく、自治体の協力も不可欠で、それらがうまくいかないと徐々にこうして取り壊されて、やがて消滅してしまうのかもしれません。
3つの市場が集中する麻豆市街の中心地
麻豆区の中心部には3つの市場が集中しており、多くの人(とバイク)が集まっていて賑やかです。
私が行った時は、周辺の道路どころか市場の中までバイクが走っていました。注意していないと事故りそうです。行く時はバイクに特に気をつけてください。
麻豆市三公有零售市場(麻豆第3市場)、麻豆市五公有零售市場(麻豆第5市場)、中央市場の3つが道路を隔てて集まっている場所です。
市場の周辺には安くて美味しい店が必ずあります。これは台湾の常識と言って良いでしょう。
日本の市場にも安くて美味しいお店が多いですが、中には観光客相手に観光客価格になっている市場もあります。
台湾は多分それはありません。なぜならどの市場も地元に密着しているからです。
特にここ、麻豆の市場は観光客はほぼいませんので、完全に地元民相手の商売です。
とりあえず私は市場内を歩いてみましたが、既に時間的に閉店しているお店が多いものの、営業しているお店もそこそこ見つけられました。
市場内部はお肉や魚、野菜を売るお店が多いですが、市場の外側(道路沿い)には飲食店や屋台が立ち並びます。外側はほとんど営業しています。
とにかく異様にバイクが多く、道路の反対側の小北百貨に行きたいのに、なかなか行けないレベルでした(小北百貨好きなので、見かけると入ってしまうのです)。
反対車線からバイクや人の合間を縫って突っ込んできたり、逆走したりは当たり前。
市場までバイクで来てお買い物して帰って家で食事、という生活スタイルが垣間見えます。
阿助麻豆碗粿
碗粿のお店は3つの市場周辺に何軒もありますが、中央市場に阿助麻豆碗粿と言うお店があります。
道路沿いではないのでわかりにくいですが、上の画像の中央市場とある角の位置から奥に進んでいくと見つけることができます。
麻豆には碗粿の有名店がいくつかあり、中でも阿蘭碗粿が最も有名で観光客も多いと思われますが、私はあえて地元民に評価されているこのお店に向かいました。
- 住所 台南市麻豆區中正路29號
- 定休日 火曜日
- 営業時間 6:00-13:00
- 阿助麻豆碗粿
メニューは碗粿と肉羹しかありません。余計なものは一切置かない潔い方針。看板メニューのみで商売できると言うのは相当の自信があるからです。こういうお店大好きです。
それぞれ35元でしたので、両方頼んで70元でした。安いですね。
メニューが少ないということは同じ材料を大量に仕入れることになるので、安く仕入れができるのです(ただし大量に売れることが条件です)。
店内に席はほぼありませんが、周辺に机と椅子がかなり適当な感じで置いてあるので、台湾らしさを味わいながら食べることができます。
私が訪ねたのは午前10時前だったと思いますが、ひっきりなしにお客さんが来ていました。
阿助麻豆碗粿は百年老店。台湾で100年以上営業しているお店は、まずいわけがなく、多くの地元民に受け入れられていることが証明されているようなものです。
碗粿は台湾語ではワーグイ(wā guì)、台湾華語ではワングオ(wǎn guǒ)と呼びます。古くからある台湾料理です。
今では台湾B級グルメで各地で食べられる碗粿ですが、特に南部では有名です。台南や高雄ではお店を探すのに苦労はしません。
碗粿はお米をすり潰したものの中に(お店によって違いますが)お肉や、エビ、椎茸、卵などを入れて蒸した料理です。
私は初めて食べました。お米なので餅っぽい感じなのかなと思っていましたが、餅感というよりは硬めの茶碗蒸しっぽい感じ、あるいは同じく米を主原料とする名古屋のういろうを固めた感じ。
中には肉、椎茸、卵が入っていました。
そのまま食べるとややあっさりとした味わいです。これはこれで美味しい。
机の上には醤油のタレとニンニクのタレがあります。これらを別々に垂らして食べても良し、混ぜて食べても良し。味変できるのは楽しいです。
醤油のタレは甘辛い感じで、日本で言うとみたらし団子のタレに近いです。
台湾南部は北部に比べて、食べ物全体的に甘めのものが多いです。
碗粿は最高に美味しくて絶品とまでは言いませんが、非常に味わい深く、伝統的な庶民の味を味わえた感動と、周辺の台湾らしい雰囲気の中で食べたことが大変印象的でした。
ちなみに肉羹も台南らしく少し甘みのあるトロッとしたスープで、非常に美味しかったです。ごちそうさまでした。
龍泉冰店
中央市場の阿助麻豆碗粿の裏手にある龍泉冰店も百年老店。かき氷屋さんです。
市場にある百年老店のハシゴな訳です。絶対に確実な食べ歩きコースです。
老舗中の老舗のかき氷屋さんで、冷たいものでも食べてみようと寄ってみました。
- 住所 台南市麻豆區平等路2-4號
- 定休日 火曜日
- 営業時間 8:00-18:00
- 龍泉冰店
どれにしようか考えましたが、無難に綜合冰にしておきました。
頼むとお店のおばちゃんがピーナッツ入れると美味しいよ、というのでお願いしました。
この雑多な感じが台湾らしくて大好きです。
レトロかき氷機。他にお客さんがいなかったので、店内をゆっくり見て回ることができました。
いかにも台湾の古いかき氷屋さんという雰囲気です。
見た感じはかき氷に甘いシロップがかけられているだけです。
「総合」なので中には色んなものが入っています。
甘すぎず、優しく、素朴で、そして懐かしさを感じる味わいでした。美味しかったです。
麻豆老街と3つの市場散策まとめ
麻豆老街は廃れていますので、わざわざ見に行くほどでもありませんが、麻豆の市場周辺は栄えていて、人も多くて、美味しいグルメも多く、かなり楽しいです。
麻豆代天府だけ行くのはもったいないです。ぜひ立ち寄ってみて、地元のグルメを味わってみてほしいです。
麻豆中心部は地方都市の小さな街ですが、丹丹漢堡や弘爺漢堡、Louisa Coffeeそしてスタバやマクドナルドなどのチェーン店もある一方で、地元の個人店も多く、活気があります。
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