カラスミは高級食材であり珍味
カラスミ。美味いですよね。
日本で買うとかなりのお値段なので贈答用として使われることが多いですが、食べたことあるでしょうか?
台湾好きな人の多くは知っていると思いますが、このカラスミ、台湾も有名な産地の一つなんです。
台湾に行けば各地の専門店やお土産店、スーパー、デパート、空港売店あるいは屋台でも売っています。
このページではカラスミの起源から価格の違いまでカラスミの疑問を何でも解決すべく、日本と台湾のカラスミ情報を中心にお伝えします。これを読めば台湾のカラスミ博士になれるかも?
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日本のカラスミ
日本ではカラスミは漢字でかくと唐墨と書きます。これは唐(中国)の墨のような色(あるいは形)をしているからと言われます。
豊臣秀吉が「これは何だ?」と聞いたときに代官が咄嗟に唐墨と答えたことからこの名前が定着したとも伝わりますが、真偽は不明です。
カラスミは日本では日本三大珍味の一つとされています。
日本三大珍味
- 「長崎のカラスミ」
- 「三河のこのわた」
- 「越前のウニ」
参考:農林水産省
これは最近後付けで誰かが考えたものでもなく、江戸時代には既に確立されていたそうです。つまりその時代には既に日本ではカラスミが世に知られていたということになります。
日本のカラスミは安土桃山時代に明(中国)から長崎に伝わったとされています。しかしこの頃は鰆(サワラ)の魚卵を使っていたそうです。
その後、長崎の高野屋の初代ご主人がボラの魚卵を使うことを提案し、それが好評になり、今では日本ではほぼボラを使っています(香川県など一部地域では鰆を使っています)。
高野屋は1675年創業の老舗中の老舗で、江戸幕府や宮中への献上の歴史もある長崎カラスミの超有名店です。
日本での一般的な食べ方は
- スライスしてそのまま食べる
- スライスして酒を少し振りかけ、軽く炙る
- 細かく刻んでパスタやお茶漬けに
さて台湾ではいつからあるのでしょうか?
台湾のカラスミ
台湾ではカラスミは烏魚子(Wū yúzǐ)と呼びます。無理矢理日本語で書くとウーイーズ。
台湾にカラスミが伝わったのは恐らく中国からのルートと思われますが、正確な年代は不明です。ただ1850年代には既に製造されていたと言われます。
余談ですが、そもそもカラスミのルーツは今から2000年ほど前の地中海沿岸地域だそうです。エジプトやギリシャといった国は今でもカラスミを作っていますね。
当時は冷凍も冷蔵もできませんので、いかにして食べ物を長期間保持できるかを研究した結果カラスミが生まれたと想像できます。
2000年ほど前に古代ギリシャで発祥したカラスミはヨーロッパや中国に伝わります。そして中国から日本に伝来したのは400年ほど前。台湾もこの頃かもう少し後くらいと想像できます。
既にカラスミを製造していた台湾ですが、日本統治時代に日本の職人がボラを使うことやその製法を伝え、良いところを取り入れながら現在の製法に至ったようですね。
3種類のカラスミ
台湾で皆さん普通にお土産としてカラスミを買うことがあると思いますが、実は台湾のカラスミは3種類あり、これにより大きく価格が変わってくることをご存知ですか?
ポイント
- 輸入物
- 養殖物
- 天然物
この3つです。輸入物が一番安く、天然物が一番高級です。
台湾では一時期ボラが不漁になり、ボラを輸入することになったと言います。ブラジルなど南米産のものが多く、これを加工したものが最も安いです。
スーパーなどでは産地は基本的に記載されていますのでBrazilまたは巴西などという文字が見えたらそれは輸入物です。
養殖物と天然物との見分け方ですが、天然物が欲しいのであれば
メモ
- 野生と書いてあるものを選ぶ
- 天然物専門店で買う
こんな感じです。しかし実際には偽装もあるらしく素人には判断は難しいですが、確認できるポイントとして天然物は
ポイント
- 厚みがある
- 店先に並べてあるものの色がバラバラ
- 光を透かすと血管が見える
というのがポイントです。天然物は養殖物に比べると厚みがあるそうです。
また、天然のボラは食べるものがそれぞれ違うので魚卵の色もそれぞれかなり違うのが特徴ですが、養殖のボラは同じエサを同じ量毎日食べるのでどれも色や大きさが同じになるそうです。
天然物は養殖物と比較すると臭みがなく、味も濃厚とのことです。しかしその分お値段は高くなります。
養殖、天然に関わらず良いカラスミの見分け方としてチェックしておきたいのは、厚みがあることと色が濃い目というのがチェックポイントです。
台湾でのカラスミの食べ方
日本では酒の肴や料理に使うことが一般的ですが、台湾ではおめでたい行事の時に食べることが多いそうです。
メモ
- 過年(春節)のお祝いに
- 結婚式の披露宴の時に
台湾でもカラスミは高級品です。日本よりは食べる習慣があるとは言え、いつも食べているということもなく、お祝いの料理として定着しています。
食べ方は様々ですが、一般には薄皮を剥いてから好みの厚みでスライスし日本と同じように酒や水を振り数十秒軽く炙ります。
その後は大根、ネギ、ニンニク(芽、スライス)、梨、リンゴなど割と歯ごたえのあるものに挟んで食べるのが一般的です。
日本ではこのような食べ方はあまりしていないので、逆にやってみると美味しいかもしれませんね。
台湾のカラスミの大きさ
台湾ではカラスミの大きさは両という単位が使われます。この両という単位は中華圏で良く使われていますが、国によってその重さが違うという難解な単位です。
つまり例えば台湾と中国と香港でそれぞれ1両の重さが違いますのでご注意ください。台湾の1両は
台湾の1両
1両(兩)=37.5g
この37.5gの倍数でおよそのカラスミの大きさを示します。台湾から輸入し日本で販売する商品は0.5g単位の端数は四捨五入したり切り捨てたりして表示しています。
メモ
- 3両=112.5g
- 4両=150.0g
- 5両=187.5g
- 6両=225.0g
- 7両=262.5g
こんな感じです。これが大きさの目安になっています。私が先日ゲットしたカラスミは188gと書いてあったので5両相当ということでしょう。
しかし実際にはこんなにぴったりのカラスミを意図的には作れないのでこれは目安と考えれば良いでしょう。
なお大きくて量があるから値段が高いのではなく、大きいものは希少なので値段が高くなるそうです。
カラスミの保存方法
カラスミは長期間保存するために古代ギリシャ人によって考案されたものですので、日持ちします。
目安としては
カラスミ保存期間
- 常温で1週間
- 冷蔵で1ヶ月
- 冷凍で1年(未開封の場合)
というところです。台湾の気温で常温で1週間保つのですからお土産にそのまま持ち帰ることができます。
日本に帰ったらひとまず冷蔵庫に入れておきましょう。一度に大量に食べるものでもないので、たくさん買った場合は冷凍しておけば問題なくいつでも美味しく食べることができます。
なお、冷凍した場合の解凍はそのまま冷蔵庫に入れて解凍するのが良いそうです。
台湾のおすすめカラスミ販売店一覧
台湾にはたくさんのカラスミ販売店があります。専門店、土産物店から夜市やスーパーでも売っています。
ここでは日本人がお土産物として買って行くことが多いだろう各地の有名店を紹介します。
なお営業時間などは変更になる場合があるのであえて書いていません。最新の営業時間はGoogleMapを開いてご覧ください。
台北周辺
台北は主要産地ではありませんが、観光客が多いので各店舗独自ルートで中南部の産地から仕入れているようです。
台北は観光客が圧倒的に多いこともあり、店舗も多いです。まずはホテルから行きやすい店舗に行ってみましょう。
大振行
大振行は小売店ではなく卸売店ですが、小売もしてくれます。卸売店だからこそ質の良いカラスミが安価で確実に手に入ります。
しかし本来は卸売店なので、店構えが小売店らしくなく、入りにくいかもしれませんが、スタッフはみんな優しいので、日本語で「カラスミ」と言うだけで「日本人の観光客がカラスミを買いに来た」と理解してくれます。
店の奥の冷蔵庫にはたくさんのカラスミがあり、好きなものを選べばOKです。お店の人が案内してくれます。日本人向けの箱に入れてくれるのでお土産にも最適です。
台北では私のイチオシのお店です。
詳しくは下記を参照してください。
→ 大振行は台北迪化街にある知る人ぞ知る老舗のカラスミ専門店
住所:台北市延平北路二段36巷16號
永久號
永久號は上記の大振行のすぐ近くにあります。有名なので行ったことのある人も多いでしょう。美味しいカラスミが安価で手に入ることで人気がある老舗の専門店です。
迪化街周辺にはカラスミを売るお店が多いですが、この永久號が一番有名だと思います。
また、日本語が話せるスタッフがいることも心強いですね。試食もできます。
住所:台北市延平北路二段36巷10號
伍宗行
こちらも西門町から近く台北駅からも歩いていける場所なのでアクセスも良く人気です。また永久號並に安く買うことができ、美味しいと評判。
店主は日本語が話せますし、私が行った時は結構多く買ったからか少し割引してくれました。カラスミ専門店ではありませんが、穴場的なお店です。
住所:台北市中正區衡陽路56號
李日勝
日本人も多く行く迪化街にあり、人気の寧夏夜市からも程近い場所にあるこのお店。お土産物店ですがカラスミを豊富に扱っており、試食も出来て美味しくて安いと評判です。
一口サイズのカラスミも売っていてその場で食べることもできます。
住所:台北市大同區迪化街一段203號
鹿港周辺
台中からバスで1時間ほど。電車とバスを使っても同じくらいの時間がかかったと思います。台湾の古都の一つである鹿港老街。
ここでもカラスミ作りが盛んです。台中観光に来たら是非鹿港まで足を伸ばして美味しいカラスミをゲットしてください。総じて台北で買うより安いです。
再烏魚子伝統製作批発
ここは鹿港老街の中にあるので散策した人は必ず通ると思いますし、記憶にも残ると思います。
店先にずらりとカラスミが天日干ししてあり、販売用のものは真空パックされています。店主に頼めばその場で焼いて食べることもできるそうです。
ちなみに私はこのお店で二度購入したことがありますが、大変美味しくて安いし、プレゼントしても喜ばれました。
住所:彰化縣鹿港鎮埔頭街10號
利興烏魚子
ここも店先にカラスミが天日干ししてあるのですぐに目につきます。鹿港名産のカラスミ専門店です。安い上に美味しいということで台湾人にも評価が高いお店です。
鹿港散策の際は是非チェックしてみてください。
住所:彰化縣鹿港鎮民族路171號
台南周辺
台南もまたカラスミの有名な産地の一つです。だいたい中国大陸との間にある台湾海峡にボラが多く、ここに面した台湾の中南部の港町の多くはカラスミを作っているようです。
明興商行
お知らせ
2024年6月に店主のおじいさんが亡くなったそうです。生涯現役を貫いたのかなと思います。後継者らしき人は見たことなかったのですが、やはりそのまま6月末には閉店してしまったそうです。
残念ですが、お疲れ様でした。ご冥福をお祈りします。
1938年創業という歴史あるお店。
店主のこのおじいさんは当然ながら日本語教育を受けた世代なので大変流暢で綺麗な日本語を話します。カラスミでわからないことは質問してみましょう。
2024年で97歳になるはずのおじいさん、まだまだ現役で頑張ってほしい反面、そろそろ引退してゆっくりして欲しい気もします。
住所:台南市中西區民權路二段198號
吉利號烏魚子
こちらも老舗1935年創業の天然カラスミ専門店です。初代の店主は日本統治時代に日本のカラスミ職人から製法を学んでお店を開いたそうです。
数々の品評会やコンテストで受賞した経歴のあるお店で、台南の有名店というよりは台湾を代表するお店でもあります。
天然物のみを扱っているので養殖物と比べると高く感じますが、それでも天然物としてはかなり安価で販売しています。ちなみに養殖物の2〜3倍の価格です。
住所:台南市安平區安平路500巷12號
高雄周辺
高雄はカラスミの有名な産地です。特に高雄市茄萣区は雲林県口湖郷と並ぶ台湾の中でも有名な産地です。
観光客も多い高雄は従ってカラスミを売るお店も多いようです。
正味珍烏魚子
カラスミの専門店です。高雄自体が産地なので輸送費のコストがかからないためか台北で買うよりかなり安く購入できます。評判もかなり良いです。
日本語の話せるスタッフもいますので安心ですね。
ちなみにこのお店がある鹽埕區七賢三路の通り周辺はカラスミ専門店が軒を連ねるほど多いです。どうせ行くなら色んな店を覗いてみましょう。
住所:高雄市鹽埕區七賢三路125號
好味珍
こちらも上記と同じ通りにある人気店です。カラスミ通りと呼ぶ人もいるこの通りは店先にカラスミがずらりと並びます。
このお店もとにかく値段が安く上質のものが手に入ると人気です。
住所:高雄市鹽埕區七賢三路119號
珍芳烏魚子見學工廠
高雄にはカラスミを作る工程を見学できるだけでなく、自分でカラスミを作ることや、お土産のカラスミも販売してしまう素晴らしい場所があります。
珍芳は元々はカラスミ販売店でしたが、カラスミの歴史や文化を学べる展示スペースを設け、工場を見学してもらうことを考え付き、現在のようになったようです。
ここでは天然物のカラスミを購入できます。
なお見学は事前予約制です。チケットは下記から購入できますが、購入後電話やLINEなどで日時を予約することが必要です。詳細は下記ページをご覧ください。
住所:高雄市前鎮區新衙路296巷81弄13號
台湾カラスミ雑学まとめ
いかがでしたでしょうか?かなり台湾カラスミ雑学王に近づきましたか(笑)?
いつもパイナップルケーキのお土産しか買っていないあなた!次に台湾に行った時は是非美味しい台湾産のカラスミを買ってみましょう。
お酒を飲まれる方へのお土産として最適です。でも飲まない人でも美味しく食べることができます。小さいものでも美味しいですよ。
ちなみに台湾で販売されているカラスミは7割が養殖物です。私も含め皆さんが知らずに買っているお土産もほとんどが養殖物です。養殖物で十分美味しいです。
カラスミは台北で買っても日本で買うよりはかなり安いですが、台北以外の地域で買ったほうが更に安いです。
まあこれはカラスミだけに言えることではないですがね。台北は物価が高いのです。
コロナによる渡航制限も完全になくなり、自由に台湾に遊びに行けるようになりました。台湾で買ってみましょう!
まだすぐには行けない!とにかくカラスミをすぐに食べたい!という人はこちら↓
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